「装置を小型化・薄型化したい。でも、トルクが足りない」
「減速機でトルクを稼ぐと、バックラッシュが出るうえに、全体が重く厚くなってしまう」
ロボット・産業機器・搬送装置のメカ設計では、「厚み」と「必要トルク」のトレードオフが常につきまといます。同じ悩みを抱えている設計者の方は多いのではないでしょうか。
当社が開発したブラシレスDCモータ「BL-7035」は、直径70mm・厚み35mmという偏平(へんぺい)形状でありながら、起動トルク7.4N・mを発生します。ロータの磁石に「ハルバッハ配列」という並べ方を採用することで、薄さと高トルクを両立させました。
本記事では、この薄さで高トルクを出せる理由と、実際にどのような装置で効果を発揮するのかを解説します。
1. 直径70mm×厚み35mm。この薄さで高トルクを実現できる理由
当社のブラシレスDCモータ「BL-7035」は、手のひらに収まる直径70mm・厚み(軸方向の長さ)35mmの偏平形状(パンケーキ型)を採用しています。
通常、モータのトルクを高めるには、モータ自体を大型化するか、軸方向に長くして磁石やコアの体積を増やすのが一般的です。
つまり従来は、「トルクを上げる=厚くなる」が常識でした。
BL-7035は、ロータの永久磁石に「ハルバッハ配列(Halbach Array)」という特殊な磁気構造を採用することで、この常識を覆しています。
ハルバッハ配列がもたらす2つの効果
▲ ハルバッハ配列の磁束イメージ(動作面側に磁束が集中し、反対側への漏れが抑えられる)
① 動作面の磁界を極大化する(=トルクが上がる)
磁束を集中的にロータの動作面へ押し出します。通常の磁石配列に比べて、大幅な磁束密度の向上を実現します。これが高トルクの源です。
② 反対側の磁界を極小化する(=漏れ磁束が減る)
反対側へ漏れる磁束がほぼゼロになります。そのため、周辺の精密電子機器やセンサーへの磁気影響を抑えられます。
この2つの効果により、「厚みわずか35mm」を維持したまま、同サイズの標準モータを凌ぐ高トルク出力が可能となりました。
ハルバッハ配列そのものの原理については、別記事で詳しく解説しています。
→ 東京モートロニクスの新モータ「BL-7035」が採用するハルバッハ配列とは
2. 減速機頼みの設計から脱却する|バックラッシュと厚みの解消
従来の設計では、薄型モータで不足するトルクを補うために、高減速比の減速機を組み合わせることが一般的でした。しかし、この構成には次のようなデメリットがあります。
- バックラッシュ(ガタつき)による制御精度・応答性の低下
- 部品点数の増加による故障リスクとメンテナンス負荷の増大
- 減速機の分だけ厚く、重くなる
当社の高トルクBLDCモータを採用すれば、ダイレクトドライブ(直結駆動)、または低減速比での駆動が可能になります。
高減速比ギアを搭載する場合と比較して、次の3点を同時に実現できます。
- バックラッシュのないスムーズな制御
- 装置全体の圧倒的な軽量化・薄型化
- メンテナンス性の向上
3. 薄型×高トルクが活きる「4つの活用シーン」
「直径70mm・厚み35mm × 高トルク」という特徴は、特に次のような用途で真価を発揮します。
① 協働ロボット・産業用アームの関節
アームの関節部にモータを配置する場合、モータの厚みは、そのまま関節の張り出しや可動域に直結します。厚み35mmの薄型設計であれば、関節部をコンパクトに納められます。さらに高トルクにより、ダイレクト感のある俊敏なアーム動作を実現します。
② AMR(自律走行搬送ロボット)・AGVのインホイール駆動
搬送ロボットの全高を低く抑えたい用途に最適です。車輪内部やその直近の限られたスペースに納まりつつ、ハルバッハ配列による粘り強いトルクで、重い搬送物の運搬やスロープの登坂を強力にサポートします。
③ パワーアシストスーツ・装着型デバイス
人体に密着させる機器では、「薄さ」と「軽さ」が絶対条件となります。BL-7035は体に沿うような薄型形状でありながら、人間の動作をサポートするための瞬間的な高トルクを出力できます。
④ ジンバル・カメラスタビライザー
減速機を介さないダイレクトドライブ駆動により、バックラッシュのない滑らかで応答性の高い角度制御が可能です。映像機器や光学探知装置の首振り機構などに威力を発揮します。
4. BL-7035の主な仕様
「設置スペースの制約で諦めていた高トルク駆動」を、当社のモータが実現します。主な仕様は以下のとおりです。
| 項目 | 仕様 |
| 型式 | BL-7035 |
| 外径 | 70 mm |
| 全長(厚み) | 35 mm |
| 駆動方式 | ブラシレスDC(アウターロータ型) |
| 磁石配列 | ハルバッハ配列 |
| 起動トルク | 7.4 N・m |
| 最大出力 | 1071 W |
| 電圧 | 48 V |
より詳しい基本特性やT-N特性図、外観図は、下記の製品ページでご確認いただけます。
5. 試作評価・カスタム対応のご相談を承ります
BL-7035について、次のようなご相談も随時承っております。
- 自社の試作機で評価してみたい
- 巻線仕様などのカスタム対応ができるか知りたい
- 自社の装置に納まるか、寸法や特性を相談したい
デモ機の貸出にも対応可能です。各種モータ・着磁ヨーク・マグネットの開発は、東京モートロニクスへお気軽にお問い合わせください。
6. よくあるお問合せ
Q. デモ機の貸し出しはどのくらいの期間できますか?
A. 通常2週間から1カ月程度となりますが、ご要望に柔軟に対応いたしますのでお気軽にご相談ください。
Q. カスタマイズはどの程度対応可能ですか?
A. 基本的には小規模なものになります。これまでの実績ではケーブルの長さ変更、ある個所のC面取り加工追加、マグネットの配列変更や耐熱グレードへの変更などがあります。まずはお気軽にご相談ください。
Q. 納期はどの程度かかりますか?
A. 通常1カ月程度ですが、ご相談に応じて短縮も可能です。
Q. 最低購入数はありますか?
A. 1台から購入可能です。
