解説【T-N特性図(トルク-回転数曲線)の読み方】

T-N特性図

T-N特性図(トルク-回転数曲線)は、モータの性能を理解し、用途に合わせて適切に選定するために最も重要なグラフの一つです。
今回はこの特性図の読み方の基礎を解説します。

📈 T-N特性図とは?

T-N特性図は、モータに一定の電圧をかけたときに、「負荷(トルク)に対する回転数(スピード)」の関係を示したグラフです。下図はトルク基準方式であり、トルクを基準として回転数、電流、出力、効率を読み取ります。横軸にトルク、縦軸に回転数をとっています。縦軸にはさらに出力と効率もとっており、右側の数値はそれを表しています。

トルクに使われる単位は「N・m(ニュートンメートル)」です。

📖 特性図の読み方

T-N特性図には、4本の直線または曲線があります。

  1. トルク-回転数直線(青色の直線)

グラフの左上から右下に向かって引かれている青い直線です。負荷をかけない状態(トルクゼロ、グラフの左上)から負荷(トルク)をかけていった場合に回転数がどのように減っていくかを示します。

グラフの右下が最も負荷が大きい状態となり、この時点で回転が止まるためトルクの限界値となります。

  1. トルク-電流直線(赤色の直線)

グラフの左下から右上に向かって引かれている赤い直線です。負荷をかけない状態(トルクゼロ、グラフの左下)から負荷(トルク)をかけていった場合に必要となる電流がどのように増えていくかを示します。

利用するトルクでどのくらいの電流が必要になるかを確認します。

  1. 出力曲線(緑色の曲線)

負荷をかけない(トルクゼロ)状態から最大不可で回転が止まるまでの出力(W)を示します。出力はトルク×回転数で求められます。

利用するトルクでどのくらいの出力となるかをグラフ右側の数値で確認します。

  1. 効率曲線(黄色の曲線)

モータが電気エネルギーをどれだけ有効に機械的エネルギーに変換できたかを%で示します。特定のトルクと回転数における効率を見ることで、その条件での電力の変換効率がわかります。この値(最大100%)が高いほど効率が良いモータということになります。

グラフ右側の数値で確認します。

📌 重要な限界点(パラメータ)

T-N特性曲線上で特に重要なパラメータは以下の通りです。

  1. 無負荷回転数
    • 場所: 縦軸(回転数軸)と青色の直線が交わる点。
    • 意味: モータに負荷がまったくない状態(トルク)で達成できる最大の回転数です。
  2. 起動トルクまたは停止トルク
    • 場所: 横軸(トルク軸)と青色の直線が交わる点。
    • 意味: モータが回転数ゼロの状態(静止状態)から起動できる最大のトルクです。
  3. 最大出力点
    • 場所: 緑色の出力曲線が最大値を示す点。
    • 意味: モータが最大の仕事(出力)をしている運転点です。出力はトルクと回転数の関係で決まるため、最大出力点はそれぞれが最も大きくなる点になります

💡 モータ選定時のチェックポイント

  1. 現在ご利用中のモータまたは比較検討中のモータと最大トルクや最大回転数、最大効率などでどの程度の能力差があるのかを確認します。
  2. 始動時や急な負荷変動時でも、モータが失速しないよう、起動トルクが負荷トルクよりも十分に大きいかを確認します。
  3. 最も効率の良い運転領域(黄色の効率曲線が最大になる付近)でモータを動作させることが省エネルギーにつながります。

 

以上、簡単ではありますが基礎的な内容を解説させていただきました。
モータ選定においてお困りでしたらお気軽に弊社までご相談ください。