新開発のモータ「BL-7035」の特徴とは
当社が新たに開発したブラシレスDCモータ「BL-7035」は「ハルバッハ配列」という特殊なマグネット配列を採用しているのが特徴です。
この弊社独自の特徴的なマグネット配列を採用することで、片側の磁場をゼロに近くなるまで減らし、もう一方の片側の磁場を増大させることで、同じマグネットであっても効率を高めることに成功しております。
ハルバッハ配列とは
ではそのハルバッハ配列とは何かというと、同じ磁石材料を用いながら、最大の磁力を発生させることができる磁石配列の一種です。
アメリカの科学者であるクラウス・ハルバッハが1979年にこの磁石の配列を発見したことで、この名が付けられました。
ハルバッハ配列は、複数の永久磁石を特定の方向に磁化させることで実現されます。
また、一般的な直線状のハルバッハ配列では、隣り合う磁石の磁化方向が90度ずつ回転するように配置されます。
この配置により、磁束は強めたい側で互いに強め合い、反対側では打ち消し合うようになります。
通常の配列イメージ
磁石の両側に同じ程度の磁界が広がっている
ハルバッハ配列例イメージ
磁石の片側に磁界が集中している
ハルバッハ配列の種類
一口にハルバッハ配列と言っても、主に以下のような種類があります。
・直線型ハルバッハ配列 (Linear Halbach Array)
磁石を直線状に並べたもので、片側に強い磁場を生成し、反対側の磁場を弱めます。
・円筒型ハルバッハ配列 (Cylindrical Halbach Array)
磁石を円筒状に配置したもので、円筒の内側または外側に強い磁場を生成します。
・リング型ハルバッハ配列 (Ring Halbach Array)
磁石をリング状に配置したもので、中心部または外側に強い磁場を生成します。
ハルバッハ配列の応用例
ハルバッハ配列は、その独特な磁場特性から様々な分野で応用されています。主な例としては以下のものがあります。
・磁気浮上式鉄道 (Maglev)
強い磁力を片側に集中させることで、車両を浮上させ、推進力を得るために利用されます。
・リニアモータ
高効率で強力なリニアモータの磁気回路に利用されます。
・ブラシレスDCモータ
ローターの磁石配置に利用され、高トルク・高効率なモータを実現します。
・磁気ベアリング
摩擦を低減するために、回転軸を非接触で支持する磁気ベアリングに利用されます。
・核磁気共鳴 (NMR) および磁気共鳴イメージング (MRI)
均一で強力な磁場を生成するために利用されます。
・粒子加速器
荷電粒子の軌道を制御・収束させるための磁気レンズやウィグラーマグネットに利用されます。
・冷蔵庫のマグネット
薄い柔軟なマグネットシートに応用され、片側への吸着力を高めています。
・磁気分離器
磁性体を効率的に分離するために利用されます。
・磁気治療器
局所的に強い磁場を与えるために利用されることがあります。
・スピーカーのボイスコイル
高効率な駆動のために利用されることがあります。
ハルバッハ配列のメリット
ハルバッハのメリットとしては、主に以下4点が挙げられます。
・強力な磁場
同じ体積の磁石を使用した場合、通常の配置よりも強い磁場を得られます。
・効率的な磁場利用
磁場を特定の方向に集中させるため、磁気エネルギーの損失が少ないです。
・小型化・軽量化
必要な磁場強度を得るために、より少ない磁石で済む場合があります。
・漏洩磁場の低減
磁場の不要な広がりを抑えることができます。
ハルバッハ配列のデメリット
一方でデメリットとして以下の3点が挙げられます。
・複雑な構造
磁石の配置と磁化方向の制御が複雑になる場合があります。
・製造の難しさ
正確な磁化方向を持つ磁石の製造や、それらを正確に組み立てるのが難しい場合があります。
・反発力の問題
磁石同士が反発し合う配置が含まれるため、組み立てや保持に工夫が必要です。
ブラシレスDCモータ「BL-7035」のまとめ
このようにハルバッハ配列は、その優れた磁場特性から多くの分野で重要な技術として活用されています。
当社では上記のような課題を克服し、ハルバッハ配列でモータにマグネットを搭載する製造方法を確立しました。
ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。