中国による輸出規制の厳格化と「マグネット危機」の真相
現在、製造業界において最も警戒すべき事態となっているのが、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制です。
EV(電気自動車)用モータやロボット、精密家電に欠かせない「最強の磁石」であるネオジム磁石。その卓越した性能を維持するために不可欠な「重レアアース(ジスプロシウムやテルビウム)」の供給を、中国が国家戦略として管理し始めました。特に2026年1月に発令された「デュアルユース(軍民両用)品」としての輸出管理厳格化により、材料確保が困難になる「マグネット・リスク」は、もはや予測ではなく現実の脅威となっています。
こうした地政学的リスクを背景に、今、世界中のエンジニアが熱い視線を注いでいるのが、「レアアースフリー(または重レアアースフリー)技術」による次世代ネオジムマグネットの開発です。
そもそも「ネオジム磁石」と「レアアース」の危うい関係とは?
ネオジム磁石は、主にネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ホウ素(B)で構成されています。しかし、モータなどの高温環境で磁力が弱まる「熱減磁」を防ぐためには、以下の希少な元素を添加するのが一般的でした。
・ネオジム(軽レアアース):主な磁力の源。比較的産地が分散しており、入手は可能。
・ジスプロシウム・テルビウム(重レアアース):高温下でも磁力を維持するための「耐熱剤」。産地が極めて特定国に偏っており、今回の規制の影響を最もダイレクトに受ける材料です。
解決の鍵を握る「レアアースフリー技術」の2つのアプローチ
現在注目されている「レアアースに依存しない技術」には、主に2つの進化系統があります。
① 重レアアースフリー(重レアアース不使用)
ネオジム自体は使用しつつ、調達リスクが極めて高いジスプロシウムやテルビウムを「ゼロ」にする技術です。
・実現のメカニズム
磁石の結晶をナノレベルで微細化し、境界を最適に整列させる「粒界拡散法」などの高度な加工技術を用います。これにより、重レアアースに頼ることなく、従来と同等以上の耐熱性を確保します。
② 完全レアアースフリー(レアアース全般不使用)
ネオジムさえも使わず、鉄や窒素、フェライトなどの汎用材料を組み合わせて、ネオジム磁石に匹敵する磁力を生み出す次世代技術です。
・期待の新材料
「鉄窒化化合物」などが有力候補として研究されており、資源ナショナリズムに左右されない究極のサプライチェーン構築を可能にします。
なぜ今、この技術が「製造業の救世主」なのか?
特定の国による輸出管理が強化された現在、従来のマグネット調達を続けることは以下の3つの致命的なリスクを抱えることを意味します。
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供給停止リスク:輸出許可制により、政治情勢次第で突然材料が入らなくなる。
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コストの予測不能な高騰:希少価値の操作により、製品価格への転嫁が避けられなくなる。
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地政学的依存:一国に依存する調達構造が、事業継続計画(BCP)の脆弱性となる。
「レアアースフリー」技術の採用は「政治に左右されない安定した生産体制」を構築するための戦略的選択なのです。
実用化の最前線:日本の技術が「脱レアアース」を加速させる
すでに日本の主要メーカーや弊社のような開発拠点では、重レアアースを一切使わない高性能磁石の量産化、およびEV向けモータへの採用を加速させています。
今後は産業機器、車載、ロボティクスのあらゆる分野で「脱中国レアアース」の動きが具体化し、レアアースフリーがモノづくりのスタンダードになっていくでしょう。
まとめ:材料に左右されない「技術の自立」こそが勝ち残る鍵
中国の輸出規制という試練は、裏を返せば「技術革新の起爆剤」です。「材料が手に入らない」と立ち止まるのではなく、「材料の制約に縛られない技術」へとシフトすること。これこそが、激動の時代を生き抜く製造業の最適解ではないでしょうか。
供給リスクをゼロへ。弊社の「重レアアースフリー・ソリューション」
東京モートロニクスでは、現在輸出規制の対象となっている重レアアースを含まない、「高グレード・高温耐性ネオジムマグネット」の供給可能範囲を順次拡大しています。
・既存製品の性能を維持したまま、調達ルートを安定させたい
・次世代モータ開発において、将来の規制リスクを排除したい
現在、材料調達やスペック維持に苦慮されているようでしたら、ぜひ一度弊社へご相談ください。貴社の安定生産と競争力強化に向け、最適な調達・開発案を共に検討させていただきます。