【内外径同時着磁の事例】磁気式エンコーダの高分解能化を実現する狭ピッチ着磁技術について

狭ピッチ着磁

なぜ狭ピッチ着磁が必要なのか? 磁気式エンコーダの進化と課題

産業用ロボットやEV(電気自動車)などの分野において、磁気式エンコーダへの「小型化」や「高分解能化」の両立が強く求められています。
これらを実現するためには、限られたスペースの中でより細かく、正確な着磁を行う「狭ピッチ着磁」が必要不可欠となっています。

従来の着磁ヨークにおける3つの問題点

しかし、従来の着磁ヨークでは、着磁ピッチが狭くなるほど以下の問題が発生し、高精度化のボトルネックになっていました。

【隣接する極への磁場干渉】
 極間が狭まることで磁場が干渉し合い、磁力ムラが発生する。

【発熱による精度低下・短寿命化】
着磁ヨーク自体が発熱しやすくなり、精度低下や寿命の短縮を招く。

【加工精度の限界】
微細な加工が困難なため、設計通りの部品が作れず、要求磁場が出せない。

当社で開発した狭ピッチ着磁ヨークの解決事例

こうした課題に対し、当社が実際に開発・対応した事例をご紹介します。

【実際の顧客要求内容】
・磁気式エンコーダやFGマグネットの「端面」へ、狭ピッチで着磁をしたい。
・一つの磁石の「外側」と「内側」で、異なる極数の着磁をしたい。

【当社の対応内容】
・技術的な課題
 通常のアプローチ(別々のヨークでの2回着磁など)では実現が難しく、ピッチ精度の保証が最大の課題でした。

・提案内容
別々の着磁ヨークを作るのではなく、「1回の着磁」で外側・内側の両方を着磁可能な専用ヨークを製作しました。

実際に当社で製作した着磁ヨークを使い、着磁をしたマグネットは下図の通りです。

狭ピッチの多極着磁は、高度な技術と精密な設計が求められる分野です。 当社では、磁場解析と独自の設計によりこれらの課題を解決し、狭ピッチでも設計通りの均一でシャープな磁極境界を持つ着磁を実現いたしました。

まとめ

磁気式エンコーダの性能向上は、適切な着磁から始まります。
東京モートロニクスの精密着磁技術は、お客様の製品開発に貢献いたします。